かみ合わせのお話し①
「かみ合わせ」と聞くと皆さんはどのようなことをイメージされますか?
ほとんどの方は、まず歯並びの良し悪しを思い浮かべるのではないでしょうか?
歯並びがきれいで上下の歯がきちんと噛んでいるから、かみ合わせが良い。
逆に、歯並びがガタガタで上下の歯がきれいに噛んでいないから、かみ合わせが悪い…といったような。
間違いではありませんが、それでは「かみ合わせ」を狭くしか捉えられていません。
実は、歯並びが良く、きれいに噛み合っているようでも、「かみ合わせ」が良くないこともありますし、
歯並びが悪く、きれいに噛めていないようでも、「かみ合わせ」としては悪くないこともあります。
いったいどういうことでしょうか?
私たちは普段、当たり前のように「かみ合わせ」という言葉を使っています。
「かみ合わせ」は気軽に話されますが、歯科治療の専門家の間でも、認識や理解に差異がある分野で、
敬遠されることも多いようです。
しかし、「かみ合わせ」を考えずに行われる歯科治療は、単に「穴を掘って埋める」ような…
設計図なしで行われる工事に近いイメージとなるでしょうか。
例えば、
歯に痛みがあると患者さんは「虫歯かな?治療(ここでは削って埋める等の一般的な歯科治療のこと)が必要かな?」
となりますし、
歯医者さんも「歯や治療した詰め物の中に問題あるのかな?」となりがちです。
実際に診査すると、すぐに明らかな原因が確認できる場合もあれば、はっきりとわからない場合もあります。
こういったときこそ、「かみ合わせ」への理解がとても役に立ちますし、解決への道筋がみえてきます。
誤解がないようにすると、きれいに、きちんと治療することはとても大切です。
特に「かみ合わせ」にそれほど問題ないケースでは、もちろん、それだけで上手くいく場合もあります。
上手くいくとは、お手入れ次第ですが、長期的に再発せず、快適に過ごせるということです。
そういう方は、「しっかり治療してもらった。あとは歯磨きや飲食習慣に注意して、定期健診に欠かさず行こう」
でOKです。
しかし、実際に患者さんのお口の中を長年診ていると、その差はあれども、「かみ合わせ」に問題を抱えている方は
非常に多いです。
例えば、すでに詰め物や被せ物がお口の中に多数ある方、神経を複数の歯で抜いている方、
歯が欠けたり割れたことのある方、よく詰め物や被せ物が外れるかた、
歯の欠損部にブリッジや部分義歯、インプラントをいれている方、治療した後も症状が再発しやすい方、
歯肉の腫れやすい方、肩こりと同時に歯や歯肉が痛む方、
頬や唇、舌が荒れやすかったり、口内炎ができやすい方、ピリッと歯がしみる知覚過敏がでやすい方、
顎に不快症状がでやすい方、噛みしめや喰いしばり癖がある方、などはその代表例です。
みなさん、心当たりはありませんか?
②に続く